※内容は2026年9月28日時点の法令・国税庁の公表資料をもとにしています。

2027年1月以後に支払う給与から、源泉所得税は「令和9年分 源泉徴収税額表」で計算します。基礎控除が最大104万円に上がったと聞くと、「来年から毎月の手取りがかなり増えるのでは」と期待したくなります。

先に結論を書くと、毎月の源泉所得税の減り方は多くの月給で月170円前後です。この記事では、新旧の税額表を月給別に比べた早見表と、減り方が小さい理由、基礎控除104万円の効果がどこで戻るのかを整理します。

2027年から源泉徴収税額表が変わる:毎月の手取りはいくら増える?

「基礎控除104万円」と聞いても、給与明細の何円が変わるのかは分かりにくいものです。給与計算を人に任せていると、なおさらです。

計算デスクを運営する合同会社Edel Heartsも、給与計算と年末調整は税理士にお任せしています。私自身が税額表を引いて源泉所得税を計算しているわけではありません。それでも役員として給与を受け取る立場では、1月の明細で源泉所得税がいくら変わり、12月の年末調整で何が精算されるのかを知っておくと、明細を見て「これで合っている」と判断できます。

任せている会社の従業員・役員こそ、変化の大きさを先に知っておく価値があります。小さいと分かっていれば、1月の明細でがっかりせずに済みます。

令和9年分の源泉徴収税額表 早見表:月給別の税額の差

月額表の甲欄(扶養控除等申告書を出している人)で、令和8年分と令和9年分の税額を比べました。月給は社会保険料等を差し引いた後の金額です。額面ではありません。

社会保険料等控除後の月給 扶養0人(令和8年分 → 令和9年分) 扶養1人 扶養2人
150,000円 2,420円 → 2,080円(-340円) 810円 → 470円(-340円) 0円 → 0円(0円)
180,000円 3,620円 → 3,450円(-170円) 2,010円 → 1,840円(-170円) 390円 → 220円(-170円)
200,000円 4,340円 → 4,170円(-170円) 2,730円 → 2,550円(-180円) 1,100円 → 940円(-160円)
220,000円 5,050円 → 4,880円(-170円) 3,440円 → 3,270円(-170円) 1,820円 → 1,650円(-170円)
250,000円 6,110円 → 5,940円(-170円) 4,490円 → 4,320円(-170円) 2,880円 → 2,710円(-170円)
280,000円 7,180円 → 7,010円(-170円) 5,560円 → 5,390円(-170円) 3,950円 → 3,780円(-170円)
300,000円 7,930円 → 7,760円(-170円) 6,320円 → 6,150円(-170円) 4,700円 → 4,530円(-170円)
350,000円 11,730円 → 11,390円(-340円) 8,500円 → 8,230円(-270円) 6,780円 → 6,620円(-160円)
400,000円 15,650円 → 15,320円(-330円) 12,430円 → 12,080円(-350円) 9,190円 → 8,850円(-340円)
450,000円 19,860円 → 19,480円(-380円) 16,590円 → 16,240円(-350円) 13,350円 → 13,020円(-330円)
500,000円 28,190円 → 27,520円(-670円) 21,730円 → 21,040円(-690円) 17,520円 → 17,180円(-340円)
600,000円 45,390円 → 44,720円(-670円) 38,930円 → 38,250円(-680円) 32,470円 → 31,780円(-690円)

※国税庁の月額表(令和8年分・令和9年分)の甲欄の税額です。所得税と復興特別所得税(令和9年分は防衛特別所得税も)を合わせた額で、住民税は含みません。

  • 社会保険料等控除後17万〜30万円の人は、月160〜180円、年にして約2,000円の減少
  • 16万円未満や32万〜47万円くらいの人は月330〜380円前後、48万円以上の人は月670〜690円前後の減少
  • 甲欄で税額が0円になるのは、令和8年分の105,000円未満から令和9年分は111,000円未満に上がる

税額が増える人はいませんが、手取りが目に見えて増えるほどの差ではありません。

令和8年分と令和9年分の給与明細の比較
毎月の源泉徴収税額の差は、多くの人で月160〜690円ほど

手取りの増え方が小さい理由:税額表に入っているのは基礎控除の「本則」だけ

国税庁の令和9年分の税額表には、コンピュータで計算するときの計算式(電算機計算の特例)が載っていて、税額表が前提にしている毎月の控除額が分かります。

電算機計算の特例の控除額(月額) 令和8年分 令和9年分
基礎控除の額 48,334円(58万円÷12) 51,667円(62万円÷12)
給与所得控除の最低額 54,167円(65万円÷12) 57,500円(69万円÷12)

基礎控除は、法律の本体(所得税法)で決まっている本則の58万円→62万円(+4万円)だけが入っています。年12で割ると月3,333円です。これに税率5%と復興特別所得税などを合わせた5.105%をかけると約170円、税率10%の人なら約340円、20%の人なら約680円。早見表の差とほぼ一致します。月給の低い人の差が340円前後なのは、給与所得控除の最低額も月3,333円上がったためです。

一方、合計所得金額489万円以下の人に上乗せされる特例の加算(最大で104万円まで)は、この月額には入っていません。国税庁は令和8年分の税額表について、「基礎控除の特例は源泉徴収税額表に織り込まれておらず、年末調整または確定申告の際に適用を受ける」とQ&Aで明記しています。令和9年分について同じ文言は見つけられませんでしたが、控除額が62万円÷12の51,667円であることから、同じ仕組みと考えられます。

毎月の源泉徴収と12月の年末調整
毎月の税額表に入るのは基礎控除の本則分。上乗せ分は年末調整でまとめて精算されると考えられる

基礎控除104万円の効果は年末調整で戻る

毎月の源泉所得税は少なめの控除で計算され、1年分の正しい税額は12月の年末調整で計算し直されます。基礎控除104万円などの上乗せは、そのときにまとめて反映されると考えられます。

ここで押さえておきたいのが、2026年(令和8年分)の年末調整です。令和8年分は、11月までの給与を改正前の税額表で源泉徴収し、12月の年末調整で改正後の基礎控除などを使って精算します。基礎控除104万円の効果は、まず2026年12月の年末調整の還付として受け取ることになります。

また、基礎控除と給与所得控除の最低保障額(74万円)は、令和8年分と令和9年分で同じ額です。給与や家族構成、ほかの控除が同じなら、2027年は毎月の源泉所得税が少し減る分、年末調整の還付は2026年より小さくなると考えられます。

2026年の年末調整でいくら戻りそうかは、2026年の年末調整で還付はいくら増える?基礎控除104万円・年収別の目安で解説しています。

2027年1月の給与明細で確認したい3つのこと

任せている人でも、次の3点は自分で確認できます。

  1. 源泉所得税が早見表どおりに下がっているか:使う表は給与を支払う日で決まります。12月分の給与でも、2027年1月に支払うなら令和9年分です
  2. 扶養の人数が正しいか:扶養親族の所得要件は、2026年12月1日以後に支払う給与から所得62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)に広がりました。新たに対象になった家族がいれば、扶養控除等申告書に書いて出します
  3. 防衛特別所得税の表示に慌てない:2027年から防衛特別所得税(所得税額の1%)が始まりますが、復興特別所得税が2.1%から1.1%に下がるため合計は変わらず、源泉徴収税額は増えません

早見表と違うときは、会社の担当者や税理士に確認しましょう。

給与明細を確認する人とチェックリスト
2027年1月の給与明細で確認したい3つのこと

自分の月給で源泉徴収税額を計算する

早見表にない金額は、計算デスクのツールで確認できます。

まとめ

  • 2027年1月以後に支払う給与は、令和9年分の源泉徴収税額表で計算する
  • 毎月の減少は、社会保険料等控除後17万〜30万円で月160〜180円、それ以外でも月330〜690円ほど(年約4,000〜8,000円)
  • 税額表に入っているのは基礎控除の本則(58万円→62万円)だけで、104万円までの上乗せは年末調整で精算されると考えられる
  • 基礎控除104万円の効果は、まず2026年12月の年末調整で受け取る

出典

※早見表の税額は、国税庁の月額表(PDF・Excel)と全件照合した計算デスクのデータから算出しています。