※内容は2026年9月28日時点の法令・国税庁の公表資料をもとにしています。

「基礎控除が104万円に上がったと聞いたのに、毎月の手取りはほとんど変わっていない」と感じている会社員の方は多いはずです。実は、2026年(令和8年分)の改正は12月の年末調整でまとめて反映されます。そのため今年は、例年より還付が増える人が多い年になります。

この記事では、国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」などをもとに、年末調整2026の変更点と、年収別に還付がいくら増えるかの目安を整理します。

2026年の年末調整で還付が増えるのは、11月まで改正前の税額表だから

令和8年度の税制改正で、基礎控除の引上げなどが令和8年12月1日に施行され、令和8年分(2026年1〜12月)の所得税から適用されることになりました。

ところが、国税庁は「令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じません」としています。1月から毎月の給与で引かれてきた所得税は、改正前の源泉徴収税額表で計算されたままです。

そこで12月の年末調整で、改正後の基礎控除と給与所得控除で1年分の税額を計算し直し、それまでに引いた税額との差を精算します。引きすぎた分は過納額として本人に還付されます。1年分の減税がまとめて戻るので、還付が大きく見えるわけです。

1〜11月の源泉徴収と12月の年末調整での精算
1〜11月は改正前の税額表で引かれ、12月の年末調整でまとめて精算される

年末調整2026の変更点は4つ

「令和8年分 年末調整のしかた」の表紙には、今年の改正として次の4つが挙げられています。

  • 基礎控除の引上げ(最大104万円)
  • 給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円→74万円)
  • 扶養親族等の所得要件の改正(58万円以下→62万円以下など)
  • 23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除の特例(一般生命保険料控除の上限が4万円→6万円)

給与所得控除の最低保障額の引上げが効くのは、年収220万円未満の人です。なお、ひとり親控除の引上げ(35万円→38万円)は令和9年分からで、今年の年末調整には影響しません。

基礎控除104万円:年収別にいくら増える?

基礎控除は、合計所得金額によって増え方が大きく違います。

合計所得金額 収入が給与だけの場合の年収(目安) 改正前 改正後 増えた額
132万円以下 206万円以下 95万円 104万円 +9万円
132万円超336万円以下 206万円超475万1,999円以下 88万円 104万円 +16万円
336万円超489万円以下 475万1,999円超665万5,556円以下 68万円 104万円 +36万円
489万円超655万円以下 665万5,556円超850万円以下 63万円 67万円 +4万円
655万円超2,350万円以下 850万円超2,545万円以下 58万円 62万円 +4万円

※年収の目安は、国税庁が改正後の給与所得控除で計算した金額です。改正後の金額は令和8・9年分のもので、令和10年分以後は合計所得132万円以下が99万円、それを超える人は62万円になります。

いちばん増えるのは年収475万〜665万円前後の人(+36万円)です。

年収別:年末調整の還付はいくら増える?(目安)

控除が増えた分に所得税率(5〜23%)と復興特別所得税(102.1%)をかけた額が、改正によって下がる年税額、つまり改正がなかった場合より還付が増える額の目安です。国税庁の「給与所得控除後の給与等の金額の表」と「算出所得税額の速算表」(令和8年分)で計算しました。

年収 基礎控除(改正前→後) 年税額(改正前) 年税額(改正後) 還付の増加額(目安)
150万円 95万→104万円 0円 0円 0円
200万円 95万→104万円 3,500円 0円 約3,500円
300万円 88万→104万円 35,200円 27,000円 約8,200円
400万円 88万→104万円 65,300円 57,100円 約8,200円
500万円 68万→104万円 117,900円 90,300円 約27,600円
600万円 68万→104万円 184,200円 147,500円 約36,700円
700万円 63万→67万円 282,300円 274,100円 約8,200円
800万円 63万→67万円 435,400円 427,200円 約8,200円

前提:給与は1か所だけ、社会保険料は年収の15%と仮定、扶養・配偶者なし、生命保険料控除などほかの控除なし。年税額は復興特別所得税を含み、100円未満切り捨てです。

たとえば年収500万円の場合、給与所得控除後の金額は356万円、社会保険料は75万円です。改正前は基礎控除68万円で課税所得213万円、税額は213万円×10%−97,500円=115,500円、×102.1%で117,900円。改正後は基礎控除104万円で課税所得177万円、177万円×5%×102.1%で90,300円になり、差は27,600円です。

実際に12月に戻る額は、ここに生命保険料控除や賞与、月ごとの給与の変動による精算も加わるため、人によって違います。表は「改正の分だけで、いくら増えるか」の目安として見てください。

年収帯ごとの還付の増え方のイメージ
還付の増え方は年収によって違い、年収500万〜600万円前後で大きくなる

扶養控除等申告書の出し直しが必要な人(学生の子など)

基礎控除の引上げにあわせて、扶養親族などの所得要件も上がりました(カッコ内は収入が給与だけの場合)。

区分 改正前 改正後
扶養親族・同一生計配偶者 58万円以下(123万円以下) 62万円以下(136万円以下)
特定親族(19〜22歳) 58万円超123万円以下(123万円超188万円以下) 62万円超123万円以下(136万円超197万円以下)
配偶者特別控除の対象の配偶者 58万円超133万円以下(123万円超201万5,999円以下) 62万円超133万円以下(136万円超207万円以下)
勤労学生 85万円以下(150万円以下) 89万円以下(163万円以下)

このため、次のような家族がいる人は、扶養控除等申告書を出し直す必要があります。「異動月日及び事由」欄には「令和8年12月1日 改正」などと書きます。

  • アルバイト収入が123万円超136万円以下の子(19〜22歳を除く16歳以上)や親:新たに扶養控除の対象になる(一般の扶養親族なら38万円)
  • アルバイト収入が123万円超136万円以下の大学生など(19〜22歳):特定親族特別控除の対象から、扶養控除(特定扶養親族63万円)の対象に変わる
  • アルバイト収入が188万円超197万円以下の大学生など(19〜22歳):新たに特定親族特別控除の対象になる(例:年収190万円なら6万円)

特定親族特別控除は令和7年分からある制度で、今年変わったのは対象になる所得の範囲と、収入ごとの控除額の区切りです。なお、健康保険の扶養は税金とは別の基準で判定されます。勤務先の健康保険の窓口で確認してください。

計算デスクを運営する合同会社Edel Heartsも、年末調整の計算は税理士に任せています。ただ、税理士に任せていても、従業員から申告書を集めて渡すのは会社の役目です。今年は家族の収入によって申告書の書き直しが出るため、配る段階で「学生の子のアルバイト収入が136万円以下か」をひと言添えておくと、出し漏れを防げます。

扶養控除等申告書を出し直す家族
学生の子などの収入によっては、扶養控除等申告書の出し直しが必要になる

年の途中で退職した人は確定申告で

年末調整は、その年最後の給与を払うときに行います。最後の給与を令和8年11月30日以前に受け取った人(年の途中の退職など)の年末調整には、改正後の基礎控除などは使われません。改正後の控除を受けるには確定申告が必要です。

2027年以後は?毎月の源泉徴収税額表も変わる

2027年(令和9年)1月以後に払う給与からは、改正後の源泉徴収税額表が使われます。ただし、毎月の税額表の変化は多くの月給で月170円前後と小さく、基礎控除の上乗せ分は来年も年末調整で精算される形になると読めます。月給別の差は2027年分の源泉徴収税額表で手取りはいくら増える?月給別の早見表で比べています。

自分の給与で確認するなら計算ツールで

還付の目安は、社会保険料や扶養の人数で変わります。計算デスクの無料ツールで確かめてみてください。

参考にした公的な情報