※内容は2026年10月9日時点の法令・厚生労働省の公表資料に基づいています。
「休日出勤は35%増し」と聞いていたのに、土曜に出勤した月の明細では25%になっていた。あるいは、割増そのものが付いていなかった。そんな疑問を抱く方は少なくありません。休日出勤の割増率を分けるのは、その日が「法定休日」か「所定休日」かという点です。
この記事では、労働基準法37条、割増賃金の率を定める政令、厚生労働省(東京労働局)のパンフレットに沿って、休日出勤の割増率が35%になるケースと25%になるケースを整理します。あわせて、同じ月給・同じ8時間の休日出勤でも、支払額が5つのパターンでどう変わるかを計算します。
休日出勤の割増率は「法定休日」なら35%
労働基準法35条では、使用者に「毎週少くとも一回の休日」を与えることを義務付けています。この週1日の休日を法定休日と呼びます(4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は、週1日でなくてもよいとされています)。
法定休日に働かせた場合の割増率は、政令で35%以上と定められています。時間外労働(残業)に適用される25%よりも高い率です。
| 区分 | 割増率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 法定時間外(1日8時間・週40時間超) | 25%以上 | 労基法37条1項・割増賃金令 |
| 時間外のうち月60時間を超えた部分 | 50%以上 | 労基法37条1項ただし書 |
| 法定休日の労働 | 35%以上 | 労基法37条1項・割増賃金令 |
| 深夜(22時〜翌5時) | 25%以上 | 労基法37条4項 |
| 時間外+深夜 | 50%以上 | 施行規則20条1項 |
| 法定休日+深夜 | 60%以上 | 施行規則20条2項 |
土曜出勤は「所定休日」。割増は週40時間を超えた分の25%
週休2日の会社では、2日の休みのうち法定休日に当たるのは1日だけです。残る1日や祝日は、会社が定める所定休日に当たります。東京労働局のパンフレットによると、法定休日は週1日のため、週休2日制のいずれか1日(土曜日など)や祝祭日に勤務させても休日手当(35%)を支払う必要はないとされています。
ただし、所定休日に働いた時間も労働時間に含まれます。1日8時間・週40時間のいずれかを超えた部分には、法定時間外労働として25%以上の割増が付きます。月〜金に毎日8時間働き、同じ週の土曜にも出勤した場合、土曜の労働時間はすべて週40時間を超えるため、割増率は25%です。
一方、同じ週に祝日があり、平日の労働時間が32時間だったとします。この場合、土曜に8時間働いても合計は週40時間ちょうどなので、法律上の割増はありません。ただ、月給に含まれていない労働であるため、通常の賃金(1.00倍)の支払いは必要です。なお、所定休日も35%にするなど、就業規則(賃金規程)で法律を上回る率を定めている会社もあります。その場合には、会社の定めが優先されます。

同じ8時間でも支払額はこう変わる(計算例)
ここでは、計算デスクの残業代・割増賃金 計算ツールと同じ式を使って計算します。条件は、基礎賃金(月給から家族手当・通勤手当などを除いた額)が30万円、年間休日が120日、1日の所定労働時間が8時間です。法定休日を日曜、所定休日を土曜とします(厚生労働省のパンフレットの例と同じ設定です)。
この条件での1か月の平均所定労働時間は(365日−120日)×8時間÷12=163.33時間です。1時間あたりの基礎賃金は、30万円÷163.33時間=1,836.73円となります。
| 休日出勤の内容(8時間) | 計算 | 支払額 |
|---|---|---|
| ①土曜(所定休日)。その週の平日の労働が32時間で、週40時間以内 | 1,836.73円×1.00×8時間 | 14,694円 |
| ②土曜(所定休日)。その週の平日に40時間働いている | 1,836.73円×1.25×8時間 | 18,367円 |
| ③日曜(法定休日) | 1,836.73円×1.35×8時間 | 19,837円 |
| ④日曜(法定休日)。22〜24時の2時間は深夜に当たる | ×1.35×6時間+×1.60×2時間 | 20,756円 |
| ⑤土曜(所定休日)。その週の平日に40時間働き、その月の時間外はすでに60時間を超えている | 1,836.73円×1.50×8時間 | 22,041円 |
※1円未満は四捨五入(ツールの初期設定)。①には割増が付かないため、ツールの時間単価×8時間で算出しました。④の内訳は14,878円+5,878円です。月60時間超の50%は、2023年4月1日から中小企業にも適用されています。
②と③を比べると、土曜と日曜の差は1,470円です。一方、残業が多い月の土曜出勤では、⑤のように法定休日の35%より高い50%が適用されます。
⑤の率になるのは、月60時間の数え方に理由があります。厚生労働省のパンフレットでは、「法定休日に行った労働時間は含まれませんが、それ以外の休日に行った労働時間は含まれます」と説明されています。土曜に働いた時間のうち週40時間を超える分は、時間外として60時間の算定に含まれます。その結果、60時間を超えた部分の割増率は50%になります。日曜(法定休日)に働いた時間は60時間に含めず、割増率も35%のままです。

深夜・長時間と重なったときの割増率
深夜(22時〜翌5時)の割増率25%は、ほかの割増率に上乗せして計算します。施行規則20条により、法定休日の深夜労働は35%+25%で60%以上となります。所定休日の時間外労働が深夜にかかる場合は25%+25%で50%以上、月60時間を超えた時間外労働が深夜にかかる場合は50%+25%で75%以上です。
ただし、すべての割増が上乗せされるわけではありません。東京労働局のパンフレットには、「法定休日に時間外労働をさせても別途時間外手当を支払う必要はありません」とあります。日曜に10時間働いた場合も、8時間を超える2時間の割増率は35%のままです。35%+25%にはなりません。
振替休日と代休で、休日出勤の扱いが変わる
振替休日と代休について、東京労働局のパンフレットは次のように区別しています。
- 振替休日:法定休日と別の勤務日をあらかじめ交換したうえで働かせる。交換によって休日労働ではなくなるため、35%の休日手当は不要
- 代休:法定休日と勤務日を交換せずに働かせ、後から休みを与える。休日労働に当たるため、35%の休日手当が必要
振替休日であっても、休みを翌週へ移した結果、その週の労働時間が40時間を超えれば、超えた部分に25%の時間外手当が必要になります。年末年始に出勤した場合も考え方は同じです。その日が法定休日か所定休日か、振替か代休かによって率が決まります。
なお、就業規則で法定休日を定めていない会社については、土日のどちらかに休めていれば、もう一方に出勤しても35%の対象にはならないとした裁判例があります(東京地裁 平成25年7月23日判決)。その一方で、就業規則を合理的に解釈し、日曜を法定休日と認めた裁判例(東京高裁 平成26年2月27日判決)もあります。結論は、各社の規定や運用によって分かれます。
計算デスクの運営者も、会社員時代に勤めていたのは比較的大きな会社で、手当の計算に困った記憶はありません。ただ、「休日出勤手当」が何%で計算されているのか、明細を見ただけでは分からないことがあります。気になる場合は、就業規則でどの曜日が法定休日か、そして所定休日の割増率がどう定められているかを確認してみてください。
自分の給与で計算するなら
月給と年間休日を入力すれば、1時間あたりの基礎賃金に加え、時間外・法定休日・深夜それぞれの割増賃金をまとめて計算できます。
- 残業代・割増賃金 計算ツール:法定休日(35%)、法定休日かつ深夜(60%)の欄に時間を入力して計算。「法定時間外」の欄には時間外の合計時間を入力し、そのうち月60時間を超えた時間を「うち月60時間超」の欄に入力する
- 手取り計算ツール:休日出勤手当を含む月給から社会保険料・税金を差し引き、手取りを計算
参考にした公的な情報
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(第35条・第37条)
- 労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(e-Gov法令検索)
- 労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)(第20条)
- 東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 割増賃金編(PDF)(2〜4ページ)
- 厚生労働省 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます(PDF)(深夜・休日労働の取扱い)
- 厚生労働省 労働条件分科会(第199回)資料No.2「労働時間法制の具体的課題について②」(PDF)(10ページ「休日の特定について(裁判例)」)
